SL「やまぐち」号でいく、のんびりレトロな旅(その1)
山口市を縦断し、島根県まで続くJR山口線。
ここは西日本でも数少ないSLが走る路線としても有名です。
今回は、新山口駅からSL「やまぐち」号に乗って山陰の小京都「津和野」を観光する、のんびりレトロな日帰り旅行プランをご紹介します。
■SL「やまぐち」号のチケット購入はお早めに
SL「やまぐち」号は3月中旬から11月上旬までの土日、祝日にJR新山口駅-JR津和野駅間を1往復する観光列車です。新山口駅発、津和野駅着の下り停車駅は、湯田温泉駅や山口駅など8駅で、どの駅でも途中乗車、下車することができます。今回の旅のプラン、新山口-津和野間片道の料金は、乗車券、指定券合わせて大人1名:1660円(子供830円)です。年間の運行計画と空席状況は、こちらをご覧ください。
チケットの購入は「JRみどりの窓口」で乗車日の1か月前から可能です。夏休み期間や秋の観光シーズンは特に混み合うので、こまめに空席情報を確認してくださいね。
■首都圏からでもその日にご利用できます
関東の方で、飛行機をご利用の場合は、羽田空港→山口宇部空港の午前7時20分の便に搭乗し、山口宇部空港→新山口駅の午前9時15分のバスに乗れば、午前9時45分には新山口駅に到着します。
新幹線をご利用の場合は東京駅→博多の午前6時16分の「のぞみ3号」に乗車すれば新山口駅に午前10時38分に到着します。飛行機、新幹線どちらで来られても、SL「やまぐち」号の午前10時48分の発車に間に合います。(平成27年7月現在)
湯田温泉駅は午前11時4分発(平成27年7月現在)ですので、乗車前日に湯田温泉の旅館・ホテルに泊まって疲れをいやし、朝風呂でゆったりのんびり温泉を堪能した後や、午前8時にオープンする「狐の足あと」の足湯でゆっくりした後にSL観光、というプランもお薦めです!
■新山口駅に着いたら、手荷物を預けて「手ぶら観光」
〜SL「やまぐち」号の旅は、湯田温泉がだんぜん便利です!〜
「思いっきり旅を満喫したいけど、この大きなキャリーケースが・・・」
そんな旅の悩みを解決してくれるのが、「手ぶら観光サービス」。湯田温泉の旅館・ホテル(対象宿泊施設はこちら)をご利用の場合、新山口駅から宿泊される施設まで、なんと「予約不要」・「無料」で手荷物を運んでくれるんです!「手ぶら観光サービス」は、新山口駅新幹線改札口にある「新山口駅観光案内所」でお申込みできますので、気軽に声をかけてくださいね。
■新幹線改札からSL「やまぐち」号が待つ1番線へ
SL「やまぐち」号は、新山口駅北口(在来線)の1番線から午前10時48分に発車します(平成27年7月現在)。在来線乗換改札口から1番線ホームまでは、橋上通路を利用します。駅構内を流れる童謡「♪汽車ポッポ」や「♪汽車(今は山中)」が、SLで旅するワクワク感を盛り上げてくれます。途中、トイレもありますから、お子様連れはこちらでちょっと休憩を。
■出発前の記念撮影&お買い物はお早めに
出発の30分前にはSL「やまぐち」号が1番線ホームに入ってきます。1番線ホームは昭和レトロ調で煉瓦づくり風の駅舎になっていて、駅名標も「おごほり」と左から書かれています。(新山口駅は平成15年までは小郡駅と呼ばれていました)
機関車の正面を背にした記念撮影や、お子様用の駅員ユニフォームの貸し出しもあるので、出発前の時間を有効に活用しましょう。出発直前は混雑しますので、ベストポジションでの思い出づくりは、お早めに。
車内販売で弁当や飲み物・お菓子等も用意されていますが、売り切れてしまうこともあるので、新山口駅のホームで買っておいた方が安心かも。
■いよいよ出発。多彩な客車でレトロ気分を満喫
「ポーッ」という大きな汽笛とともに新山口駅を出発。津和野まで約2時間の旅の始まりです。ゴーットン、ゴーットンという独特の変則的な揺れが、SLに乗っていることを実感させます。SL「やまぐち」号には「大正風」「明治風」「昭和風」「欧風」「展望車風」の5つの客車タイプがあります。どの客車も電燈や網棚などディテールにまでこだわって、レトロな雰囲気を演出しています。チケット購入時、席に余裕があれば、希望の客車を指定できるのですが、一番人気はやはり開放型の「展望デッキ」がある「展望車風」。もちろん「展望デッキ」にはどなたでも入れますので、ご安心を。各客車を探検して、それぞれの雰囲気を楽しんでみましょう。また、車内アナウンスも停車する各駅周辺の史跡や観光地、名産を紹介するなど、SLの旅ならではの趣向が凝らされています。旅のプランの参考にしてくださいね。
ここまでご紹介したSL「やまぐち」号の客車ですが、実は平成29年9月から旧型の客車を復刻した新型車両になるんです。SL全盛期の客車を味わえるのも楽しみですが、現在の客車に乗ることができるのもあとわずかです。みなさんも早めに乗っておかれることをお勧めします。(平成27年現在)
■荷物室があるのでベビーカーも持ち込んでもO.K.
SL「やまぐち」号の3号車と5号車には荷物室があり、座席や網棚に収まらない荷物を置くことができます。ベビーカーを持ち込むことができるので、まちの散策が醍醐味の津和野にも安心して行けますね。
■SL「やまぐち」号の楽しみ方①「心がほっこり、市街地ステージ編」
「列車で2時間の旅」と聞けば、客車内にずっといるから退屈するんじゃないのかな?と不安になりますよね。でも山口市を縦断するSL「やまぐち」号の旅は、レトロな客車だけでなく車窓から見える風景も多彩。見どころ満載なので、終着駅津和野までの風景を3つのステージに分けて楽しむことをお勧めします。
まずは、新山口駅〜山口駅までの「市街地ステージ」。発車して間もなくすると車掌さんが「沿道の方が手を振って見送ってくれるので、手を振り返して」と、アナウンス。本当かしら?と車窓を見てみると、線路沿いには笑顔で手を振るたくさんの人たちが!住宅地をSLがゆっくり進むこのステージは、山口市民にとっても週末の楽しい恒例行事。市民みんなでSLの走る街、山口市を盛り上げようという気持ちが伝わってきます。座席から手を振るだけでなく、1号車の展望デッキにも立ち寄って思いっきり手を振ってみましょう。心がほっこりするステージになりますよ。
■SL「やまぐち」号の楽しみ方②「記念撮影&お弁当、山岳ステージ編」
次は山口駅〜篠目駅間の「山岳ステージ」。津和野行き、下り列車では長めに停車する駅が2つあります。そのひとつが6分間停車する仁保駅。理由は、市街地から標高差約250mを一気に駆け上がるため、石炭と水の補給を行うからです。ここが1回目の記念撮影ポイント。乗客の皆さんもいっせいにホームに降りていきます。石炭を釜にくべたり、点検をする機関士さんの姿をパチリ。ホーム先端にある陸橋に登って、煙をもうもうと上げるSL「やまぐち」号をパチリ。仁保駅を出ると山口線最長の田代トンネル(1897m)に入ります。その前に注意事項!トンネルに入ると客車内に煙が入ってしまうので、窓はしっかりと閉めておきましょう。展望デッキにいる方も煤(すす)で真っ黒にならないように客車内に避難してくださいね。時計を見ると12時近くになっています。そろそろお腹が減ってきました。次に長めに停車する「地福駅」までの1時間弱をお弁当タイムにすると良いでしょう。
■SL「やまぐち」号の楽しみ方③「のんびりおしゃべり、美しい田園ステージ編」
最後は篠目駅〜津和野駅間の美しい田園ステージ。長いトンネルを抜けると、景色は田園地帯に変わります。かわいく建ち並ぶ赤瓦の家々。線路沿い咲く花々。鳴り響く汽笛の音も相まって、おとぎの国に来たようです。客車の窓越しに美しい風景を見ながら、まったりおしゃべりするも良し、1号車の展望デッキに行って、風を感じながら移ろう景色を眺めるも良し。14分間停車する地福駅は、2度目の記念撮影ポイントです。客車から出て機関車の前まで移動すると、線路を横切る通路があります。線路と同じ高さから見るSLやまぐち号は迫力満点。たくさんの乗客もここぞとばかり記念撮影を楽しみます。リンゴ園のある鍋倉駅、しだれ桜で有名な徳佐駅を過ぎてトンネルを抜けると津和野駅に到着です。
その2へ続きます。