枯山水、雪舟、重森三玲・・・。常栄寺でお庭を楽しむ
■画聖雪舟はお庭も作った
物思う秋・・・。美しいお庭を見ながら思索にふけりたいな、ということで、山口市宮野にある常栄寺雪舟庭にやってきました。
常栄寺があるのは、瑠璃光寺五重塔などがある中心市街地の少し先のエリア。ということで、JR山口線を使って湯田温泉駅の次の山口駅(約5分)まで行き、そこからさらにタクシーを利用して訪れることにしました(タクシー所要時間約15分。料金は1500円程度です)。
ちなみに、常栄寺から徒歩で5分くらいの所に「雪舟庭入口」というバス停もあるので、湯田温泉からバス(222系統)に乗って行くこともできます。この路線は、「県庁前」や「(瑠璃光寺)五重塔入口」のバス停を経由するので、瑠璃光寺五重塔や山口市菜香亭などと組み合わせて周遊するテもあり。但し、平日と土・日・祝日で運行本数が異なるので、前もってチェックしておくことをオススメします(キララバスナビ)。
さて、常栄寺到着。ここのお庭は雪舟が作ったといわれています。雪舟は室町時代のお坊様で、水墨画家として活躍した人。「天橋立図」とか「四季山水図(山水長巻)」とか、作品はいくつも国宝や重要文化財になっているような巨匠です。「子どもの頃、柱につながれて、こぼした涙を絵の具がわりにして足の指でねずみの絵を描いたというエピソードがあるわよね」とうちの母はいっていました。雪舟は、大内のお殿様に招かれて、山口市内に「雲谷庵」というアトリエを構えていたんですって。
パークロード沿いにある山口県立美術館(JR山口駅から徒歩約15分)には、雪舟とそのお弟子さん達の作品が収蔵されています。中には、国宝に指定されている貴重な作品もあり。折に触れ収蔵品展などで公開もされていますので、ご興味のある方は是非情報をゲットしてお立ち寄りを。
■落ち葉の散歩道、そぞろ歩き
晩秋の常栄寺。山門のそばで雪舟さん(胸像)がお出迎え。前庭もすっきり整っていてさわやかないい感じ。受付で拝観料を納めようとすると、「ご朱印あります」の貼り紙が。あちこちのお寺やお宮でご朱印をいただくのが好きな私、もちろんしっかりいただきました。
鐘楼門をくぐって、本堂に上がる前に、雪舟さん作のお庭のまわりの遊歩道を歩いてみました。足元は落ち葉がいっぱい。時々鳥の声が聞こえます。ところどころで立ち止まりながら、違うアングルでお庭を楽しみます。遊歩道は道幅が狭いので、参拝客が多い時は「お先にどうぞ」。写真のフレーミングもあわてずに決めたいですもんね。
■「雪舟さんが表わそうとしたもの」について考察してみる
本堂に上がって、ご本尊にお参りして、広いお座敷からお庭を眺めます。本堂と池のあいだに芝生が敷いてあり、石組があって、池があって、石橋が架けてあって、背景は自然のままの山林。今、歩いてきた遊歩道は右手から左へ。座って眺めていると、もやもやを抱えていた心が落ち着いてきました。雪景色もいいだろうな。新緑、すいれん、緑の濃い季節、それぞれに風情があるだろうなあと想像。
■日本庭園ファン必見、重森三玲の「永遠のモダン」in山口
雪舟庭はご本尊の背中側にあたるのですが、ご本尊がお顔を向けておられる側にあるのが「南溟庭」。こちらは作庭家、庭園史研究家として知られる重森三玲(しげもりみれい)作の端正なお庭です。白い砂と石、苔による築山。シンプルな分、見る者にいろいろ考えさせる力を持っているんじゃないのかなあ・・・。なぁんて、しばし哲学しちゃいました。
■常栄寺の魅力新発見!「ギャップ萌え~」
常栄寺は禅宗のお寺ということで、凛とした、ちょっと謹厳なイメージなのですが、実はコスプレーヤーが集う撮影会に場所を提供したり、夜間ライトアップ一般公開の日があったり、意外に開放的。クリスマスには「12月、山口市はクリスマス市になる。」というイベントでお庭がライトアップされるそうです。禅寺でクリスマスって、渋くてロマンチックじゃないですか?
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境内のあちこちに飾られている季節の花も素敵だし、庭園ファンはもちろん、日本建築愛好家にも楽しい場所。なんだかすがすがしくて穏やかないい気分。またきますね、雪舟さん。