2018年11月
山口市観光周遊バスに揺られて市内めぐり③
画聖・雪舟が築庭!新緑、紅葉、雪景色に映える回遊式庭園
バスは国道から離れ、少し奥まった場所にある雪舟庭前バス停へ。ここには元々、大内政弘(守護大名大内氏第29代)の別邸があり、山口に滞在していた雪舟に築庭を依頼したと伝えられています。
▲常栄寺山門。かつて、この場所には大内政弘の別邸があった
▲寺の北側に広がる「雪舟庭」。枯山水を用いた回遊式庭園となっている
街並みのモデルは京の都!大内文化の中心地・大殿エリアを散策
周遊バスのルートは再び市街地へと向かいます。次のバス停は「八坂神社前」。現在、竪小路(たてこうじ)と呼ばれるこの通りは、大内弘世(守護大名大内氏第24代)による、“京の都を模したまちづくり”の中で生まれます。
一帯は「大路(おおじ)・小路(しょうじ)」と呼ばれる路地が、京都さながら碁盤の目のように張りめぐらされています。古い町屋も数多く残り、そぞろ歩きが楽しいエリアでもあります。
▲ひとまずは八坂神社へお参り。すぐ隣に並ぶ築山神社とともに、境内にはかつて大内氏の別邸「築山館」があった
▲竪小路は、江戸時代になると萩と三田尻(現在の防府)を結ぶ主要街道「萩往還」を担った
付近には大内氏ゆかりの史跡、さらには明治維新ゆかりの史跡が多数点在しています。周辺の情報収集をするなら、八坂神社前のバス停から徒歩5分ほどの場所にある「大路ロビー」がおすすめです。
▲かつて文具店だった町家に入居する「大路ロビー」。トイレなど休憩スポットとしても便利
大路ロビーから徒歩3分の場所にある龍福寺は、かつての大内氏館跡です。発掘された遺構から、池泉庭園や西門が再現されるなど、その栄華の一端を垣間見ることができます。
▲瑠璃光寺五重塔と同じ「檜皮葺」の龍福寺本堂
▲参道はモミジのトンネル。近年、紅葉スポットとして人気急上昇中。見頃は11月中旬以降
さらに、大路ロビーに隣接する「十朋亭維新館」は9月29日にオープンしたばかりの新スポットです。幕末にかけて、この地には醤油醸造を営んでいた豪商・萬代家がありました。
▲オープンしたばかりの「十朋亭維新館」。向かって左手の建物が本館、右手が萬代家離れ「十朋亭」
その離れ「十朋亭」は、藩庁が山口に移された際、藩士の宿舎として使用され、久坂玄瑞ら多くの志士たちが起居したと伝えられています。「十朋亭維新館」は縁のある志士たちを、貴重な歴史資料とともに紹介する施設で、ARやプロジェクションマッピングなど、趣向を凝らした展示が目玉です。
▲本館内の展示物も見応え十分。手前の立体地図はプロジェクションマッピングによるもの
ここからは、八坂神社前に戻るのではなく、すぐ近くを流れる一の坂川に沿ってさらに散策を楽しみましょう。桜の名所ですが、いつ訪れても川の流れに心が癒されます。川沿いに歩けば、程なくして西京橋のバス停へ。
▲秋の一の坂川では桜並木の紅葉が楽しめる
終点・湯田温泉バス停まではあっという間。あちこち歩き回った後の足湯はきっと格別です。周遊バスでの山口めぐりの締めくくりに「狐の足あと」にもぜひお立ち寄りください!
▲カフェメニューを堪能しながら、湯田温泉のお湯を堪能すべし!
山口市観光周遊バスに揺られて市内めぐり②
明治以降の近代史ファンにはたまらない聖地「山口市菜香亭」
再びバスに揺られて、次のバス停「山口市菜香亭」へ。1877(明治10)年創業の料亭「祇園菜香亭」が移築、復元された施設なのですが、幕末・明治維新、さらに近代の歴史に関心がある方なら、まさに“聖地”ともいえる場所なのです!
▲「菜香亭」の命名は井上馨。料亭として1992(平成8)年まで営業していた
「菜香亭」は、山口の迎賓館として政治家や文化人たちに好んで使用され、明治維新、新政府において名を刻んだ偉人たちが、酒宴や会談、あるいは休息にと、ここでひとときを過ごしたといいます。
大広間や客間などに掲げられている、井上馨、木戸孝允、伊藤博文ら揮毫の扁額はもちろん本人直筆!彼らがかつて時を過ごした空間に佇めば、扁額からはその存在感を強烈に感じることができます
▲152畳の大広間は開放感も抜群!頭上に掲げられた扁額は、超がつくほどのお宝ばかり!
▲菜香亭は催事の貸し館としても地元で人気。各客間は催事がなければ見学可能。写真は北客間、佐藤栄作元総理大臣が好んで使用したことから「佐藤部屋」とも
▲前庭には「明治維新策源地」の碑が建立されている
さて、歴史に名を刻む偉人たちの邂逅を楽しんだならば、再びバスに乗り込みます。5分ほどで、次のバス停・香山公園五重塔前へ到着です。
スタイリッシュな国宝「瑠璃光寺五重塔」を目の当たりに!
▲バス停を降りたならば、日本三名塔にも名を連ねる国宝「瑠璃光寺五重塔」はもう目の前!
五重塔は大内義弘公(守護大名大内氏第25代当主)の菩提を弔うために、1442年に建立されました。境内前に整備された香山公園は、季節の花々が咲き誇り五重塔をより美しく飾ります。秋はもちろん紅葉が見事です。
▲容姿の美しさは国内随一といわれる五重塔。屋根は檜の皮を使った「檜皮葺」
▲瑠璃光寺はかつて山口、九州一円に300カ寺の末寺を数えた古刹。霊験あらたかと評判なのでぜひお参りを!
そして、園内には、かの“西郷どん”や大久保利通が訪れ、木戸孝允や伊藤博文らと薩長同盟に向けて密談を重ねたといわれる「枕流亭」が移築され、隣接地には毛利敬親公が眠る「香山墓所」があります。
▲園内に移築された「枕流亭」。2階のお座敷からは園内が見渡せる
▲香山墓所前の石畳は、不思議な音の反響が楽しめる「うぐいす張りの石畳」として有名
周遊バスでの山口めぐり、お次は画聖・雪舟が築庭したと伝えられる「常栄寺雪舟亭」へと向かいます。常栄寺は市街地から少し離れて国道よりも奥まった場所にあるため、タクシー以外での移動は、周遊バスがとっても便利です。
山口市観光周遊バスに揺られて市内めぐり③へ続く
山口市観光周遊バスに揺られて市内めぐり①
2018年11月まで、期間限定で運行されている「山口市観光周遊バス」に乗車してみませんか?湯田温泉バス停を発着点に、瑠璃光寺五重塔や山口市菜香亭、常栄寺など、市内の主要観光スポットをぐるりとひとまわりできます。
バスは1日8便運行されていて、乗車券500円(小人250円)は1日乗り放題!60分(一部90分)おきにバスがやってくるので、目的のバス停で降りてゆっくりと観光や周辺散策を楽しんで、再び後続のバスに乗り込み次のスポットへと移動する、という楽しみ方ができます。
▲バスには「やまぐち萩往還語り部の会」のガイドさんが同乗。移動中に各スポットの案内を中心にいろいろな話が聞ける
発着点の湯田温泉バス停は狐の足あとから徒歩2分
まずはバスの出発点、湯田温泉バス停へと向かいます。乗車はユウベルホテル松政側へ、きつねの形のシルエットに、湯田温泉のご当地キャラ「湯田ゆう太・ゆう子」が描かれたバス停が目印です。
▲8カ所それぞれ、スポットにちなんだゆう太・ゆう子が描かれている。湯田温泉は「足湯」
▲こちらが乗車券。裏面にはスクラッチがあり、当たりが出ると記念品がもらえる
▲周遊バスが到着。山口の観光スポットめぐりに出発!
最初のバス停はパークロード「美術館前」
乗車して約8分、最初のバス停・山口県立美術館前に到着です。バス停のある道路は「パークロード」といって、「日本の道100選」「都市景観100選」などに名を連ねており、11月にかけては美しい紅葉も楽しめます。
▲美術館前バス停。豊かな自然に囲まれた山口を象徴する美しいパークロード。周辺一帯には公園が広がる
▲秋のパークロードは紅葉が美しい。11月に入ると木々が次々に色づき始める
このバス停では、観光スポット「サビエル記念聖堂」が最寄りです。ここに来るまで、進行方向の右手に見えていた白い2本の尖塔は山口のランドマーク。ぜひ間近で、美しい白亜の聖堂をご覧ください。
バス停から聖堂へは徒歩10分ほど。9月末にリニューアルオープンしたばかりの亀山山頂広場を経由するルートがおすすめです。“健脚”が条件となりますが、山口市内の眺望も存分に楽しむことができます。
▲亀山山頂への登り口は、バス停から50m先。山といっても標高は60m程度
▲山頂には広大な芝生広場があり、毛利敬親公の銅像が建立されている
▲山口県庁(左側中央の建物)方面の眺望。映画のロケ地にもなった「県政資料館」(県庁手前のレトロな建物)、さらにその奥に周遊バスの目的地の一つ「五重塔」が見える
▲同じくバス停がある八坂神社方面。山頂から見渡せば観光スポットの位置関係も把握できる
山頂から南側の階段を降りれば、サビエル記念聖堂が目の前に。ミサや結婚式が行われていなければ、聖堂内部も見学できます。
▲毎時00分、30分には鐘の音がこだまする
再び、美術館前バス亭へ。次の目的地へと向かいます。