『復活した酒蔵』阿武の鶴酒造の若き杜氏さんに聞く、酒造りへのこだわり
日本海に面した町、阿武町。
自然豊かなこの土地に、阿武の鶴酒造は蔵を構えています。
阿武の鶴酒造の創業と若き杜氏の誕生
今回お話を伺ったのは、阿武の鶴酒造の6代目、三好隆太郎さん。
阿武の鶴酒造は1897年創業、126年という長い歴史のある酒蔵です。
しかし、日本酒離れの影響や後継者の問題で、1983年を最後に蔵での酒造りを休止されていました。
三好さんはちょうどその年に生まれ、酒造りの現場を見たことがないまま、東京の大学に進学して内装デザインのお仕事に就かれました。
そのような中、千葉県の酒蔵が出していた求人広告に応募することを思い立たれ、酒造りの世界に入られていきます。
その後、各地の酒蔵で修行を続けられる中で、三好さんは、実家の阿武の鶴酒造がまだ酒造免許を持っていることから、「自分も杜氏になり、阿武町で酒造りを再開したい」という思いに駆られ、阿武の鶴酒造を復活させることを決意されました。
復活への道のり
しかし、再開は平坦な道のりではありませんでした。
蔵の復活を志す三好さんの前に、古くなった道具の撤去や、改築の資金調達などの様々な壁が立ちはだかります。
そのような中、酒造りの再開に向けて山口県内の酒蔵に挨拶回りを行われる三好さんに、「東洋美人」で知られる澄川酒造場の蔵元・澄川宜史さんが手を差し伸べました。
澄川さんから設備を借り、初めて自分の酒を完成させることができた三好さんは、市場からの評価を得ながら、順調に販売実績を重ねていかれます。
そして2017年4月、ついに阿武の鶴酒造での酒造りが本格的にスタートしました。
酒造りのコンセプトは、「甘くて辛いお酒」「濃厚なお酒」
阿武の鶴の純米吟醸酒は、甘口でありながらも、それをスッキリと味わうことができるように、程よく酸度が整えられていることが特徴です。
しっかりとした味わいを持たせながら、そのあまりの飲みやすさに、阿武の鶴酒造の日本酒は、ついつい量を過ごしてしまう、うまい酒とも評されます。
酒米へのこだわり
三好さんは酒米に対しても強いこだわりを持たれています。
阿武の鶴酒造では、酒造りに使用する米の90%を地元の契約農家さんから仕入れています。
三好さんは、「せっかくなので阿武町の米を使いたい」という思いから、米の旨みを最大限に生かす酒造りを目指しておられるのだそうです。
ラベルデザインに込めた想い
また、三好さんはラベルデザインにもこだわりを持たれています。
三好さんが立ち上げた新ブランド「三好」のラベルは、2017グッドデザイン賞や、「SAKE COMPETITION 2017」のラベルデザイン部門で7位を受賞しています。
三好さんが、「中身のお酒にふさわしい、しっかりと想いを込めたラベルを作りたい」と考えられて出来上がったものだそうです。
杜氏の熱い想いが込められたこだわりのお酒を、ぜひご賞味ください。
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